日時:7月31日(月)14:00〜16:00 場所:東大駒場オープンラボラトリーM203号室 講師:東京大学・大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻    (独) 理化学研究所 脳科学総合研究センター 計算論的神経科学グループ    岡田 真人先生 タイトル: Hodgkin-Huxley系のレート縮約と高次相互作用を持つアナログ       ニューラルネットワーク アブストラクト: 脳の中にある多数のニューロンがスパイクと呼ばれる活動電位で情報交換するこ とで,我々は知覚,認識,運動制御などの高度な情報処理を行なっている.一 方,これまでの多くの数理的な研究では,スパイクの発射確率を表現するアナロ グモデルを構成要素とする神経回路モデルが研究されてきた. 本講演では,スパイク表現からアナログ表現を導出する数理的手続きであるレー ト縮約を概説する.Shrikiらは,縮約されたアナログニューロンモデルのf-I カーブの閾値が,Hodgikin-Huxleyモデルのリークコンダクタンスの一次に依存 し,ゲインが一定であると仮定した.我々は,f-Iカーブの閾値とゲインはリー クコンダクタンスの二次に依存することを示す.つぎにその知見を用いて,二次 相互作用を持つHodgkin-Huxley系は,より高次の相互作用をもつアナログニュー ラルネットワークモデルに縮約されることを示す.これはスパイキングニューロ ンモデルの計算能力がアナログモデルのそれを凌駕することを意味する. 最後,提案したレート縮約を用いて,メキシカンハット型相互作用を持つ Hodgkin-Huxley系を例として,Hodgkin-Huxley系の統計力学をいかに構築するか を議論する. URL: http://mns.k.u-tokyo.ac.jp