日時:3月8日(水)10:00〜12:00 場所:東大生研Dw601講義室 講師:福水健次先生(情報・システム研究機構 統計数理研究所) タイトル:カーネル法による特徴ベクトルの選択 アブストラクト: 正定値カーネルとそれに伴う再生核ヒルベルト空間を用いて、 回帰の問題設定における特徴ベクトルの新しい構成法を2つ 紹介する。  特徴ベクトル選択は、前処理としての次元削減や、変数間の 依存関係の直感的理解などを目的として、頻繁に用いられる データ処理手法のひとつであるが、特に回帰の設定では、 応答変数 Y を説明する能力がなるべく高くなるように説明変数 X を変換した新たな変数 F(X) を求める問題として定式化される。  まず第1の方法では、X がm次元ベクトルデータである場合に、 その線形変換の形で、より低次元であるd次元のベクトルを特徴 ベクトルとして求める。このとき、低次元表現 (b_1^T X, ..., b_d^T X) に含まれる Y の情報が保持される ような射影行列を、条件付独立性によって定式化し、さらに それを再生核ヒルベルト空間を用いて特徴づけることにより アルゴリズムを導く。これを用いた実験結果を示すとともに、 得られる推定量の統計的性質についても述べる。  第2に、非線形変換 F(X)=( f_1(X), ..., f_d(X) ) によって 特徴ベクトルを構成する新しい方法を紹介する。各成分 f_d を 再生核ヒルベルト空間に属する関数から選ぶことによって、 固有値問題として簡単に特徴ベクトルが構成可能となる。 この方法では、カーネルの選び方に結果が依存するが、 cross-validation を組み合わせることにより、カーネルの パラメータや、特徴ベクトルの次元選択が可能となることを示す。