Date:2月23日(木)14:00〜16:00 Venue:東大生研Dw601講義室 Invited Speaker:統計数理研究所 伊庭幸人先生 Title: マルコフ連鎖モンテカルロ法:     物理から工学・情報の世界へ     Abstract:         マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)は,1950年代 にメトロポリスたちによって液体のシミュレーシ ョンの方法として開発され,以後,物理学の内部 では広く使われるようになった.  MCMCは高次元確率分布からのサンプリングを行う ための汎用の手法なので,ほかの分野でも使われて 当然であったが,80年代までは,物理以外の分野 にはほとんど応用されなかった.80年代になって, シミュレーテッドアニーリング法として最適化の手 段としてのMCMCの応用が話題になったが,MCMCの本 来の用途である分布からのサンプリング(乱数発生) とそれに基づく高次元積分の計算という側面が物理 以外で広く注目されるようになったのは,90年代 以降である.  そのきっかけとなったのが,統計科学への応用で あり,「MCMC革命」として,ベイズ統計学復興の原 動力ともなった.その後もコンピュータグラフィク ス,組み合わせ論などさまざまな分野での応用が期 待されている.  本講演では,こうした歴史を踏まえ,講演者の研究 をまじえて,MCMCの手法と応用について解説する. とくに,「順問題と逆問題」および「サンプリング と最適化」をそれぞれ比較対照することで,論点を 明らかにしたい.また,後半では,MCMCに関連した 手法の力学系の研究への応用の可能性についても論 じる。                    (以上)