日時 :7月11日(月)15:00〜 場所 :東京大学生産技術研究所 A’棟3F大会議室 講師 :吉村和之先生(NTTコミュニケーション科学基礎研究所 研究主任) タイトル : 相関乱数暗号: 対称性のある相関乱数源と秘密鍵容量 アブストラクト : 送信者,受信者,盗聴者が,共通の情報源から生成された 互いに相関のある乱数を入手できる状況を考える. この状況下で,送信者と受信者は 公開通信路を通して適切な情報交換を行なうことにより, 盗聴者には全く分らない秘密情報を共有可能であることが知られている. この共有された秘密情報を秘密鍵として, 送信者と受信者は安全な秘密通信を行うことができる. 情報源が与えられたとき, 秘密鍵容量は, 相関乱数1ビットあたり共有できる最大の秘密情報量として定義される. したがって,秘密情報を効率良く生成・共有する為には, より大きな秘密鍵容量を持つ相関乱数源を知ることが重要となる. 講演では,秘密鍵容量の定義を説明した後, 対称性のある相関乱数源のクラスを導入し, そのクラスに対する秘密鍵容量の上界に関する定理を述べる. 次に,いくつかの具体的な対称相関乱数源の例を与え, それらの秘密鍵容量を計算した結果を示す. ここで例として与える対称相関乱数源の一つは, 秘密鍵容量の上界をほぼ達成する準最適な相関乱数源である. 最後に,内田らによるカオスレ−ザ−を用いた乱数の生成方式 [ A. Uchida, P. Davis, and S. Itaya, Appl. Phys. Lett. vol 83 (2003) pp.1-3. ]は,我々が与えた相関乱数源例の内の一つと 近似的にみなし得ることを述べる.