日時:4月12日(火)13:00− 場所:東京大学生産技術研究所 研究棟 D棟 Dw601 会議室 講演者:虫明 元先生 (東北大学大学院 医学系研究科 助教授) タイトル 眼球運動のセットシフト課題の行動解析と大脳皮質補足眼野の細胞活動 (虫明 元、古沢義人、坂本一寛、斎藤尚宏、丹治 順) 東北大学大学院 医学系研究科 アブストラクト 大脳皮質補足眼野(SEF;supplementary eye field)は、眼球運動の制御に関 しては、高次な制御に関わることが知られているが、まだ十分な機能が分かっ ていない。今回、ニホンザルを使った眼球運動のセットシフト課題を新たに導 入してまず行動解析を行い、次にその神経機構を解明すべくSEFから細胞活動 を記録し解析した。眼球運動のセットシフト課題は指示信号なく切り換わる2 つのターゲットを試行錯誤で見出すものである。その結果、課題関連細胞とし て3種類の課題関連活動が見出された。(1)ある特定のターゲットの位置にサッ カードを行うときに関連した細胞活動がみられるシングルサッカード関連活動。 (2)ある特定のターゲットのペアに選択的に活動するペアサッカード関連細胞 活動。(3)サルが選択して固視している位置がターゲットとして正解かエラー だったかという行動結果を反映すると考えられる細胞活動。これらの課題関連 細胞の数を調べると、行動結果を反映するタイプの細胞が最も多く存在した。 以上の結果から、SEFでは行動結果によって行動セットをシフトする際に重要 な役割を果たすことが明らかになった。 講演者:坂本 一寛先生 (東北大学 電気通信研究所 ブレインウェア実験施設 実世界コンピューティング研究部 助手) タイトル 行動の計画における前頭前野神経細胞の同期発火の機能的意義 アブストラクト 行動の計画には、関連する情報を統合することにより、行動の最終目標から具 体的な目標を定めることが必要である。そのような行動計画の脳内処理は、神 経細胞間の強い相互作用により達成されると考えられる。我々はこれまで、経 路探索課題の運動準備期間中にサル前頭前野に表現されている情報が、与えら れた最終目標から最初に行う具体的行動目標に変化するという結果を得た。こ こでは、この行動目標の最終→具体遷移に神経細胞の同期発火が関連すること を示す。さらに、近年の研究との比較を行うことにより、背後にあるメカニズ ムについて議論する。