研究内容

本最先端研究開発支援プログラム「複雑系数理モデル学の基礎理論構築とその分野横断的科学技術応用」プロジェクトは、我が国独自の学問「数理工学(Mathematical Engineering)」やカオス、フラクタル、複雑ネットワークなどの工学応用を目指す「カオス工学(Chaos Engineering)」を基にして、複雑系数理モデル学の構築とその様々な分野横断的科学技術応用を目指しています。
東京大学生産技術研究所に2010年3月に設置された「最先端数理モデル連携研究センター」を中心にして、学内の情報理工学系研究科、数理科学研究科、工学系研究科、新領域創成科学研究科はもとより、東京工業大学、東京電機大学、東京都市大学、東京理科大学、帝京科学大学、京都大学、大阪大学、徳島大学、九州大学、九州工業大学、理化学研究所、さらには中国科学院やケンブリッジ大学等々、国内外の多彩な研究者と密接な連携を取りながら、本プロジェクトを推進しています。

複雑系数理モデル学の基礎研究
(サブテーマリーダー:井村順一)

数学分野と工学分野でそれぞれ独立に発展してきた力学系理論と制御理論を融合することによって、ハイブリッド力学系を核とする複雑系に対する最先端複雑系制御理論を構築することを研究目標とします。そのため、複雑系の代表的な系であるハイブリッド力学系、ネットワーク系、偏微分方程式系、ハイブリッド偏微分方程式系、時間遅れのある微分差分方程式系などを研究対象とし、システム基礎、システム解析、そして予測・制御という、複雑系制御理論を構築するための3つの基本項目に対応した小テーマを設定し、各小テーマ間で有機的に連携しやすい研究体制で研究を推進しています。

複雑系数理モデル学の工学応用研究
(サブテーマリーダー:堀尾喜彦)

構築された複雑系数理モデル学理論を実際の工学システムに適用した応用研究を行うため、理論研究で得られた結果を最大限に利用し、複雑系情報処理システム、β写像に基づく新しいA/D D/A変換回路、複雑ネットワークの工学応用、産業プロセスへの最先端数理モデル応用という具体的な小テーマに特化した応用・実装研究を行います。次に、これらの個別事例より得られた結果や、応用研究全般から抽出される複雑工学システムが普遍的に示す性質などを理論研究にフィードバックし、各小テーマと関連する他の2つのサブテーマグループとも綿密な連携を取りながら研究を進めています。

基礎研究と応用研究の融合による複雑系数理モデル学の体系化
(サブテーマリーダー:合原一幸)

複雑ネットワーク理論、非線形時系列解析理論などの数理解析理論を開拓する基礎研究を進めるとともに、非線形科学、生命科学、情報科学、工学、医学および経済学など多様な分野における応用研究を推進するほか、これらの基礎研究と応用研究を融合することにより複雑系数理モデル学の基礎理論を構築・体系化することを研究目標とします。この目標の達成に向けて、複雑ネットワーク理論、時系列解析の基礎と応用、脳や生命システムの数理モデリング、疾病の数理モデル、複雑系数理モデル学の体系化の5つの小テーマを設定し、各小テーマ間で有機的に連携しながら研究を推進しています。